「風雲児たち」とは
表紙が劇画調で、本屋で見かけても手にとらないタイプの漫画です(ぉぃ
初見の人向けには、ちょっと表紙で損してますね。
中身は、結構ギャグを織り交ぜて、絵も崩した感じになっています。
連載から期間が経っていますので、時代を感じさせるギャグも散見します。
で、この歴史漫画ですが、私は受験生にピッタリだと感じています。
文字・解説が多いので、歴史嫌いの人は厳しいかもしれませんが、
普通以上の人であれば、グッと江戸時代の理解が深まります。
学校の授業では、教科書では、表面的にしか習わないこと、
単語だけ覚えていることが線で繋がります。
歴史って当然ですが、人の歴史なんです。
急に何かが起こるわけではないのです。
その辺がよく分かる非常に良い歴史漫画だと思います。
また、漫画を読むだけで主要人物名は覚えられるのも楽だと思います。
テキストの人物名だけ見て、暗記ってつまらないですよね。
そういう意味も込めて、気楽に読み進めていけば、きっと良い結果に繋がると思います。予備校でも指定図書にすればいいのに。
風雲児たち1巻
・・・ 関ヶ原 ~ 戦後処理 ・・・
関ヶ原の戦いから始まります。最初は、石田三成と大谷吉継との掛け合い漫才からスタート。歴史好きには、常識ですが、一般人には非常識の、西軍大将が石田三成じゃなく、毛利輝元だよという点から解説してくれています。
この関ヶ原の戦いで、他の作者と違う着眼点が、薩摩・長州・土佐の大名に注目したことです。私はそのように見たことがなかったので、素直に目からウロコでした。彼らは、遠方からわざわざ関ヶ原に来ながら、何も出来なかった大名たちなのです。(島津は一戦しましたが)
漫画のマップを見ながら解説すると、
布陣は、家康の周りが敵(西軍)で囲まれています。
重要なのは、家康後方の山(南宮山)を陣取る毛利と長曾我部です。
この山を降りるには、一本道を通らないといけないのですが、
その先頭に陣取っているのが、毛利の分家であり軍師として参加した吉川広家なのです。

吉川広家
この吉川が家康と内通していた為、毛利も長曾我部も動けず、一戦もせぬまま、戦いが終わり、退却します。
島津は、三成の隣の好立地に陣取りますが、戦が始まっても、戦闘に参加せず、勝敗が決してから、家康率いる東軍に真正面から突撃して、敵中突破の上退却します。1600名の兵の内、生き残ったのは60人と言われています。

島津義弘
戦後処理では、一矢報いた島津が、本領安堵。毛利は、総大将のため、本来は取り潰しのところを吉川の働きで長州と周防の2カ国へ減封、長曾我部は、取り潰しとなりました。
この3国のうち、唯一取り潰しとなった長宗我部盛親は、単身、京都へ出て寺子屋の先生として生きていきます。
こういったことが幕末への大きな布石となります。
また西軍の主戦力として活躍した、宇喜多秀家にも話を割いています。戦後、なんとか無事、岡山城まで逃げかえりましたが、すぐに逃亡します。戦後処理で、その岡山城を引き継いだのは、裏切り者小早川秀秋だったのです。

宇喜多秀家
宇喜多は、小早川を一番信頼していました。今、放送中の大河ドラマ「真田丸」で常に、三成グループとして、この宇喜多と小早川がいつも一緒に行動しているのを見ても分かると思います。この後の展開を考えると今から涙が出てきます...宇喜多は、一本気で裏表のない人物だったんだろうなと思います。